<< 五輪塔 >>


五輪塔の歴史的起源からの見方は、早くても平安中期、確実なところでは平安後期ではないかと推定されています。密教の教えにもとずき「空・風・火・水・地」を下(地)から積み上げたもので、そうした意味を表す記号のような文字で、梵字(サンスクリット文字)が石に刻まれています。
五輪塔は天台宗や真言宗のお墓に多くみられましたが、今では他の宗派の人でも五輪塔を建てます。
中国、朝鮮などの大陸には、五輪塔にあたる石碑が発見されておらず、
五輪塔は日本独自に創作されたと考えられます。
また、「梵字」とは 「キャ(空)」・「カ(風)」・「ラ(火)」・「バ(水)」・「ア(地)」と書かれ「五大」と言い、宇宙の構成要素を理解させるために用いられたものでした。
仏教では、地のように堅い性質、水のように流れ、どこにでも収まる性質、火のように燃え、熱を持つ性質、風のように収縮作用を持つ性質、そしてこれらをシステム化する空の性質で、これら五つの要素がすべてを支配しているという考えのようです。
人間もこの五つの要素で生を営み、この五大の、集散・離合・輪転により万物が生じるところから、五大、または五輪といわれています。
また梵字は、前面だけに刻まれている場合と、四面(東西南北)に刻まれている場合がありますが、四面に刻まれているのは、釈迦が東方で仏道を得んとの発心を起こし、南方で修行をし、西方で菩提を得え、北方で涅槃なされたという仏伝の四門の義にならったのだともいわれています。

 

五輪塔01